アジ歴ニューズレター
アジ歴ニューズレター 第50号
2026年8月31日
今日の資料
アジア歴史資料センターの資料活用事例
アジア歴史資料センターは資料をデジタルアーカイブとして公開し、検索性を高めて活用し易くする事で、海外においても日本の公文書の活用の裾野を広げてきました。
当センターデータベースの活用の仕方は閲覧者に委ねられ、メディアや教育現場での歴史教育、歴史学者・歴史愛好家による研究での活用など多岐に亘っています。
今回は当センターの資料を活用し、記事を執筆された韓国KBS放送局のジ ジョンイク放送部長に、特別に寄稿頂きましたので紹介致します。
活用された資料:レファレンスコード C14021103900
所蔵元:防衛省防衛研究所
簿冊名:第150師団 陣地配備図
写真:
光州航空基地の燃料庫
「Y」字型の地下施設
檀聖殿の下にある貯水槽
日本の記録と韓国の現場をつなぐ―JACAR資料を活用した旧日本軍施設の取材
韓国KBS木浦放送局放送部長 ジ ジョンイク
KBS光州・木浦放送局の取材チームは昨年の夏から、韓国西南部沿岸に残る旧日本陸軍陣地を確認するとともに、旧日本海軍・光州海軍航空基地の施設の実態を明らかにする取材を続けている。その出発点となったのが、アジア歴史資料センター(JACAR)で公開されている「第150師団陣地配備図」であった。取材では、海岸線に近い陣地や鉱山など位置を特定しやすい地点を選び、現地で検証を行った結果、配備図の記載が現地の遺構と高い精度で一致することを確認した。また、韓国西南部の中心都市・光州では、「光州海軍航空基地見取平面図」をもとに、図面に示された位置や施設の形状・規模を一つ一つ現地で照合し、その実態を確認した。
今回の取材を通じて強く感じたのは、韓国にはいまなお未確認の旧日本軍施設が数多く残されている一方、それを裏付ける記録は日本に保存されているということである。現地取材だけでは推測にとどまり、資料だけでも実態は見えてこない。JACARの公開資料は、両者を結び付け、国境を越えて歴史の空白を埋めるための重要な出発点であり、海外での調査や報道にも大きく貢献していると実感している。戦後80年を迎え、当時を証言できる人々が少なくなるなか、こうした歴史資料が、事実を明らかにするための「証言者」として果たす役割は、今後ますます大きくなるのではないかと感じている。




