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センター長ご挨拶

近年、国内には歴史に興味を持つ方々が増えてきております。他方、日本の国外に目を向ければ、近隣諸国との間に「歴史認識」をめぐる議論が繰り返されています。「歴史認識」の共有を議論するためには、まず史実を確認する作業が必要ではないでしょうか。どのような資料があるのかを確定し、その資料を共有し、それを基礎として、その史実をどのように解釈するかの議論がなされなければならないと思います。

このような観点から、平成6年8月、当時の村山首相は、翌年の戦後50周年を記念した「平和友好交流計画」に関する談話の中で、「アジア歴史資料センター」設立の検討を指示しました。同センターをどのようなものにするかについては、戦後50年に当たる平成7年以降、さまざまな角度から検討が進められてきました。そして、「アジア歴史資料整備事業の推進について」という閣議決定(平成11年11月30日)に基づき、「我が国とアジア近隣諸国等との間の歴史に関し、国が保管する資料について国民一般及び関係諸国民の利用を容易にし、併せて、これら諸国との相互理解の促進に資することを目的」に、同センターが国立公文書館の一組織として開設されることになったのです。

当センターが公開する「アジア歴史資料」は、近現代における我が国とアジア近隣諸国との関係にかかわる歴史資料として重要な我が国の公文書、その他の記録を指します。現在、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所、国立公文書館でデジタル化されたアジア歴史資料が、順次、当センターに提供されており、元の文書をデジタル画像の形でそのまま閲覧することができます。また、これら3機関の資料を一括して検索することができる等、利用者の利便性に配慮されたものになっております。

当センターが運営するデジタル・アーカイヴズの特徴は、複数の機関が保管するアジア歴史資料を一元的に公開し、これらの資料を「いつでも、どこでも、誰でも、無料で」閲覧することができる点にあります。このことにより、国の内外の歴史研究者のみならず、歴史教育に携わる方々、歴史に関心を抱く方々からのアクセスが着実に増え、これらの方々から、世界をリードするデジタル・アーカイブとして高く評価されており、さらなる充実が期待されています。

また、当センターは、アジア歴史資料のハブを目ざした取組も推進しています。例えば、琉球大学附属図書館との連携事業もその1つですが、今後もこのような連携を拡大する努力を続けてまいります。ユーザーの皆様には、当センターの取組にあたたかいご理解、ご支援を賜りますようお願いいたします。

アジア歴史資料センター長 波多野澄雄