大英図書館メッセージ

大英図書館として、国立公文書館アジア歴史資料センターと共にインターネット特別展開催に取り組む機会に恵まれたことを心から喜ばしいと考えています。これは当館が所蔵する日中両国で作成された日清戦争関連版画類をオンラインで公開する初めての試みとなります。

一連の資料は様々に世界状況が変わる時期である1895年に大英博物館が購入しました。この事実は当時の大英博物館がこれらの資料を国際紛争を記す重要なビジュアルレコードとして認識していたことを物語っています。1973年に大英図書館が設立されてからは当館のアジア部門が管理をしています。今から遡ること20年、日清戦争100周年にあたる1994年に大英博物館のキングスライブラリーにおいて展示会を開催しました。当時はインターネットやデジタル技術はまだ未発達だったため、会場に足を運ぶことのできる人のみが展示資料を目にしました。資料の調査研究も出版物に大いに頼るほかに手立ては無く、当館所蔵資料を他の所蔵館と比較検討することも難しい状況でした。今回の企画の目玉は資料が包括する豊かな情報をインターネットで公開および提供することです。技術進歩の恩恵によってインターネット経由で利用者がいつでも、どこからでも資料にアクセスできる時代となりました。前回の展示会経験者として感慨深いものがあります。

最後に共同企画ということにより当館所蔵資料をアジア歴史資料センターによる解説やコメントが付与された国立公文書館をはじめとする歴史的公文書資料と共に展示をすることが可能となったことを特記したいと思います。

大英図書館
アジア及びアフリカ研究部
日本・韓国部部長
ヘイミッシュ・トッド