岩倉使節団の記録

岩倉使節団の帰国後、残務整理機関である大使事務局が編修した一連の簿冊が「大使書類」です。このコーナーでは、大使書類を作成者や内容をもとに整理した一覧を掲示しました。それぞれの資料解説につけられたリンクから、実際の大使書類の資料検索結果(簿冊一覧)に遷移することができます。
使節記録
大使全書
大使事務局
太政官
1
岩倉使節団派遣に関する基本的史料を集成した簿冊。大使事務局がまとめた復命記録の首巻に位置づけられるもので、大使事務局による序文、大使事務書類の書目一覧、理事官・視察官による報告書目一覧、使節団出発に至る準備記録で構成されている。
使節記録
欧米派出大使御用留
外務省
外務省
6
外務省が作成した使節団関係書類。表題の異なる6冊から構成されている。その内容は、条約改正交渉に関する記録(1冊目・6冊目)、派遣通知をはじめとする駐日各国公使との往復書翰(2冊目)、辞令・伺書・通達(3冊目)、書記官の公信(4冊目)、大使・副使からの公信(5冊目)となっている。
使節記録
在米雑務書類
太政官
1
アメリカでの滞在記録を集録した簿冊。集録内容は多岐に及ぶが、使節団の人事に関係する書類、各団員の任務や旅費・滞在費といった一般会計に関係する書類、留学生取締に関係する書類、岩倉具視がアメリカで行った演説や謝辞などが含まれている。
使節記録
在英雑務書類
太政官
1
イギリス滞在中の記録を集録した簿冊。集録されている内容は、外国人雇用関係書類、海外留学生に関する書類、銀行の破産事件に関する書類、拝借金願書や借入金に関する書類、英国国王への拝謁願書などが含まれている。
使節記録
在仏雑務書類
太政官
1
フランス滞在中の記録を集録した簿冊。外国人雇用に関する書類、理事官・随行員らの帰国旅費や滞在費に関連する文書などが集録されている。この中には、使節団が帰国延期を申請した関連文書も含まれている。
使節記録
発仏後雑務書類
太政官
1
明治6年2月17日のフランス出発後、ヨーロッパ各国を歴訪し、横浜に帰着するまでの事務文書を集録した簿冊。オーストリア・イタリア・ドイツなどでの滞在記録、各国要人宛に岩倉大使の名で発信した謝辞などが収められている。
使節記録
謁見式
太政官
1
外交儀礼に関する文書を集録した簿冊。その内容は、アメリカ・イギリス・フランス・ベルギー・オランダ・ドイツ・ロシアの7ヶ国における「謁見礼式」、前記7ヶ国に加えてデンマーク・スウェーデン・イタリア・オーストリア・スイスの12ヶ国での謁見式における「大使演説」及び「元首答辞」から構成されている。
使節記録
条約談判書
太政官
1
条約改正予備交渉における応答記録を、歴訪した条約締盟国順に整理した史料。アメリカとの談判筆記や擬定条約案が大半を占め、その他にイギリス・フランス・ベルギー・オランダ・ドイツ・ロシア・イタリア・オーストリア・スイス各国における応接筆記が集録されている。
公信
本朝公信
太政官
1
正院から大使・副使への公信を集録した簿冊。使節団派遣にあたって、政府首脳では「中外要用ノ事件」について相互の報告を怠らないよう約定書で定めており、本史料からは正院にて重要事項と判断された政務事項を窺うことができる。明治4年11月27日から明治6年7月2日までの公信60通が集録されているが、一部欠号が見られる。
公信
本朝公信附属書類
太政官
3
「本朝公信」を補足する付属文書を集録した簿冊。明治4~6年の公信を集録。外務省と駐日各国外交官との間で交わされた条約改正・キリスト教などの外交書類を中心に、人事・災害といった国内事情に関する種々の公文書などから構成される。また、使節団書記官と外務省との間で交わされた公信も含まれている。
公信
大使公信
太政官
1
大使・副使から正院への公信を集録したもの。「本朝公信」と対になる史料であり、使節団による状況報告のほか、正院からの公信に対する使節団側の反応が窺える。サンフランシスコ到着後から明治6年7月3日までの公信29通が集録されている。
公信
欧米派出特別全権大使公信
太政官
3
使節団と太政官との間で交わされた公信のうち、複数の性格のものが編綴された簿冊。「大使公信」や「本朝公信」の原稿、使節団書記官が外務省に宛てた「書記官公信」を集録。その内容は、回覧中の見聞や訪問国元首への謁見・条約改正交渉といった使節団の活動に関するもの、日本国内での人事・災害・事件などに関するものから構成される。
公信
大使信書原案
外務省・太政官
2
使節団と太政官との間で交わされた公信のうち、複数の性格のものが編綴された簿冊。「本朝公信」の原稿と「大使公信」の原文書の一部に加え、使節団と各国元首との応接記録、左院視察団派遣に関する文書などを集録する。なお、1冊目の扉には「大使信書原案 三」「一二ノ分焼失」の注記があり、現存する簿冊の他に明治6年5月の宮中火災で焼失した2冊が存在したことが窺える。
公信
在欧米中公信
太政官
1
アメリカ滞在期を中心とした公信を編綴した簿冊。「大使公信」の原稿と、使節団書記官が外務省に宛てた「書記官公信」を集録。その内容は、回覧中の見聞や訪問国元首への謁見・条約改正交渉といった使節団の活動に関するもの、「本朝公信」への応答として国内情勢認識やキリスト教弾圧に関する諸国の反応などを記載したものから構成される。
公信
来信附属書類
太政官
1
明治5~6年の文書が編綴された簿冊。前半はアメリカにおける使節団接受文書で占められているが、その後にはマリアルース号事件記録書類や朝鮮・琉球関係書類など、雑多な資料が集録されている。
理事功程
司法省理事功程
佐佐木高行
太政官
10
司法省理事官佐佐木高行が司法分野の調査結果をまとめた史料。アメリカ司法制度の沿革や司法省・連邦裁判所の役職権限を紹介した「米国司法略制」、理事官一行からの質問にアメリカ司法省が回答した「対問筆乗」、ニューヨーク州の司法制度について州常訟裁判所裁判長からの聞取に基づいて紹介した「新約克裁判局略言」、オランダ司法制度の概略である「蘭法小言」、イングランド司法制度を紹介した「論氏英法小言」、アメリカでの理事官一行の視察を日録形式で記した「見聞筆乗」が収録されている。なお、本史料の目次には「加里州典」の項目が確認できるが、未収録である。
理事功程
文部省理事功程
田中不二麿
太政官
6
文部省理事官田中不二麿が訪問各国の教育制度を調査した結果をまとめた史料。アメリカのマサチューセッツ・ニューヨークほか各州における学制のほか、イギリス・フランス・ベルギー・ドイツ・オランダ・スイス・デンマーク・ロシア各国の学制が解説されている。当時刊行された数少ない「理事功程」のうちの一つである。
理事功程
大蔵省理事功程
田中光顕・若山儀一・阿部潜
太政官
11
大蔵省官員が作成・提出した調査報告。彼らの調査目的は、租税・出納・勧農・戸籍・民産調・会社の6項目であった。本史料は、戸籍関係の調査報告「米洲聯邦戸籍整定条例」、租税関係の調査報告「合衆国国税事務実視録」、阿部潜による「勧農見込書」などから成る。また、「米洲聯邦戸籍整定条例」の附表である、「合衆国戸籍取調表」5点が附属資料とされている。
理事功程
宮内省式部寮理事功程
東久世通禧・五辻安仲
太政官
1
宮内省理事官東久世通禧と式部寮理事官心得五辻安仲が提出した調査報告。イギリスの謁見礼式をまとめた「英国朝廷謁見式」と、フランスにおける宮中・文官・海軍の各礼式をまとめた「仏国礼式」から成る。冒頭に明治6年5月の宮中火災によって調査報告書類と収集書籍が焼失したことが述べられており、本簿冊の中身が完全なものではなかったことが窺える。
理事功程
肥田為良・吉原重俊・川路寛堂・杉山一成報告理事功程
肥田為良・吉原重俊・川路寛堂・杉山一成
太政官
1
使節団随行員や理事官による小規模な調査報告書を集成した簿冊。「理事大綱」は理事官肥田為良による報告書で、蒸気機関の製作や鉄道・造船などについて、主にアメリカで調査した結果が簡便にまとめられている。「外交関係事務調査書」は吉原重俊による調査報告書で、外国人の処遇に関して欧米各国で調査した結果がまとめられている。川路寛堂と杉山一成の連名による「和蘭水理堤防取調之儀ニ付申牒」は、オランダにおける堤防視察時の行動報告である。
理事功程
内海忠勝報告理事功程
内海忠勝
太政官
1
随行員として参加した内海忠勝が調査したイギリス地方事務に関する報告書である。ロンドンを調査対象都市に定め、イギリスにおける地方自治の概要、各地方自治機構の職務・職制、首長・職員選出制度、地方税の上納・分配方法などがまとめられている。
理事功程
中山信彬報告理事功程
中山信彬
太政官
1
随行員であった中山信彬が作成した報告書。ロンドン滞在中に地方事務について質問筆記した「地方事務質問抜粋」、帰国途中に香港知事より贈られた案内書を適訳した「清国案内」から構成される。
理事功程
岩山敬義報告理事功程
岩山敬義
太政官
1
岩山敬義による勧農事務取調書類。その内容は、イギリスの農学校や獣医学校について解説した「英国サレンシストル農学校大意」「英国獣医学校生徒規則及法度」、ワシントン府の勧農寮について調査した「華盛頓府勧農寮職制」「華盛頓府勧農寮事務章程」などから成る。
理事功程
高崎正風報告視察功程
高崎正風
太政官
3
左院視察団として派遣された高崎正風の調査報告。高崎はフランス滞在中に専門家から講義を受けており、その講義内容をまとめたものである。イギリスの鉄道・鉱山事業について説いた「教師シヤユエー氏講説工事」、フランスの勧農方法について説いた「教師デーラン氏講説農事」、アメリカの貿易規則について説いた「教師ブロツク氏講説」などで構成されている。
理事功程
安川繁成視察功程
安川繁成
11
左院視察団の安川繁成による調査結果をまとめた史料。「英国議事実見禄」「英国政事概論」「英国新聞紙開明鑑記」から成り、立憲君主制国家であるイギリスの議会制度や議事運営を全般的に調査した報告となっている。
理事功程
理事官山田顕義報告
山田顕義
太政官
1
兵部理事官の山田顕義による報告書。山田が理事官として作成した資料ではあるが、「大使書類」の階層には含まれておらず、国立公文書館の「記録材料」の階層に存在する。その内容は、他の理事功程のような視察報告書ではなく、海外視察を踏まえて陸軍の改革を求める建白書となっている。
携行書類
各港規則書類
1
使節団が参考史料として携行したとされる書類の1つ。各開港地における居留地及び港内に関する諸規則をまとめたもの。大政奉還以前に幕府と各国公使とのあいだで協議・手交された文書も多く含まれており、幕末から明治初年に至る開港地の運用の在り方を知ることができる。
携行書類
耶蘇書類
1
使節団が参考史料として携行したとされる書類の1つ。いわゆる浦上四番崩れと呼ばれるキリシタン弾圧事件に関する資料をまとめたもの。長崎奉行によるキリシタン検挙の経緯をまとめた「耶蘇一件始末」、明治初年における外務省と各国公使との応答書類である「耶蘇一件」で構成されている。
携行書類
訴訟書類
1
使節団が参考史料として携行したとされる書類の1つ。日本と欧米各国とのあいだで生じた紛争の始末資料をまとめたもの。青森港において日本人官員が米国商船を取り押さえた「ヘーホー船一件」、横浜市中へのガス灯設置をめぐる米独両国商人の係争である「横浜瓦斯一件」など、慶応3年から明治4年にかけて起きた23の事件に関する一件書類で構成されている。
携行書類
交際典例及関係書類
1
使節団が参考史料として携行したとされる書類の1つ。外国交際に関する資料をまとめたもの。各国公使の来日手続、欧米各国との交際における名称問題など、接遇に関わる史料を中心に構成されている。また、明治2年から同4年までに雇い入れた御雇外国人の一覧や徳川昭武が参加したパリ万博関係資料なども含まれており、当時の多彩な国際関係を窺うことができる資料である。
携行書類
己巳年中各港輸入物品数価ノ高
大蔵省
1
使節団が参考史料として携行したとされる書類の1つ。明治2年における日本国内の各港輸出入品に関する史料である。その内容は、輸入品目別に数量・市中相場価格・税額をまとめた「各港輸入物品数価〆高」、取扱港・品目・数量・代価・税額が列記した「各港輸出物品数価税調」および「各港輸入物品数価税調」から成る。
携行書類
庚午年各港輸出物品数価税調
大蔵省
1
使節団が参考史料として携行したとされる書類の1つ。明治3年における日本国内の各港輸出入品に関する史料である。その内容は、取扱港・品目・数量・代価・税額が列記した「各港輸出物品数価税調」および「各港輸入物品数価税調」から成る。
携行書類
辛未自正月至六月各港輸出物品数価税調
大蔵省
1
使節団が参考史料として携行したとされる書類の1つ。明治4年上半期における日本国内の各港輸出入品に関する史料である。その内容は、取扱港(頭注に付された漢字一文字)・品目・数量・代価・税額が列記した「各港輸出物品数価税調」および「各港輸入物品数価税調」などから成る。
調査書類
英国税関規則入港法
税関
1
イギリスで収集した船舶出入港に関するデータ。イギリス「入港法」の概略、ゲレプレセントにおける着船後の荷揚から出帆に至るまでの具体的手続を述べた「附例」から成る。
調査書類
英国税関規則輸出法
税関
1
イギリスで収集した輸出品に関するデータ。その内容は、イギリス「輸出法」や「内国運送法」の紹介、「税関輸出報状并輸出公籍」に掲載しなければならない「輸出品目」一覧となっている。
調査書類
英国税関規則輸入法
税関
1
イギリスで収集した輸入品に関するデータ。その内容は、イギリス「輸入法」の紹介、入港・貨物・揚陸に関する書式、「税関輸出報状」などに掲載しなければいけない「輸入品目」一覧となっている。
調査書類
英国税関規則借庫法
税関
1
イギリスで収集した輸入品の保税倉庫に関するデータ。イギリスの「借庫法」及び「移港規則」が集録されている。
調査書類
輸入・輸出・貸蔵入・横文・十一綴・二十四収
35
イギリスで収集した港湾・税関行政などに関する英文資料をまとめたもの。リヴァプール港におけるドックや倉庫の使用規則、英国税関当局の議事録、英国における船舶や航海に関する法令が収録されている。
調査書類
横文切手並免状
15
イギリスで収集したロンドン税関における各種物資の免税許可書をサンプルとしてまとめたもの。
その他
大臣参議及各省卿大輔約定書
―
―
1
使節団出発前に政府首脳が取り交わした約定書。その正本と草稿2通から成る。使節団回遊中の内治について「議論矛盾目的相違」を生じないことを目的として、月に2度の書信を行うこと、新規の改革を避けること、人事の凍結、右院の定日開催を休止すること、など12条が定められた。
その他
大使雑録
―
太政官・兵部省・司法省・外務省・大蔵省・陸軍省・文部省・工部省・左院・三條家・築地電信局・電信寮
1
留守政府内部で作成された公文書を集録した簿冊。正院・各省庁・大使事務局相互の往復文書、使節団帰朝関係書類、横浜における外国郵船出入港通知、明治6年5月末に中国地方で起きた暴動に関する電信、留守政府が使節団に宛てた公信、新聞誌目録など、様々な内容の文書が綴じられている。
その他
大使信報・大使事務局
大使事務局
―
1
大使事務局発行の官版冊子。使節団の動向を国民に報知するために刊行された。使節からの発信文書である「公書」と、使節団の行動日記を抄録した「略日記」から構成されている。本簿冊には明治4年11月12日から明治5年10月9日までの11通が収録されている。
その他
大使事務局日記
大使事務局
太政官
1
大使事務局の作業日誌。大使事務局とは、使節団の帰国後、残務整理と復命記録の調製に従事した機関である。事務局の活動は明治6年10月から開始されたが、本資料では明治8年2月から明治9年2月までの勤務記録が記載されている。
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