アジ歴ニューズレター

アジ歴ニューズレター 第49号

2026年3月31日

対外活動報告

EASTICA(国際公文書館会議東アジア地域支部)総会参加

韓国出張リポート

(出席者:荒木アジア歴史資料センター次長、朝倉研究員)

 

国際公文書館会議東アジア地域支部(EASTICA)総会及びセミナー等への出席

(於:韓国・釜山/2025年11月11日(火)~11月12日(水))

国際公文書館会議東アジア地域支部(East Asian Regional Branch of the International Council on Archives, EASTICA)は、International Council on Archives(ICA)の東アジア地域支部として1993年に設立されました。日本、韓国、中国、香港、マカオ、モンゴル、北朝鮮の公文書館や専門家が参加し、地域のアーカイブ担当者間の協力関係強化やアーカイブの保存・保護を目的としています。主な活動は総会・セミナーの開催、PCASおよびPDASなどの専門研修の実施、国際協力、ウェブサイト運営、年次誌の発行などです。

今回、韓国・釜山で開催された総会に参加しました。総会のテーマはAI技術であり、韓国、中国、香港、マカオ、モンゴル、マレーシア、ベトナムの公文書館によるAI導入に向けた取り組みと課題が共有されました。高度な検索システム実現に向けたメタデータ整備の必要性、AI技術の積極的な活用意欲が各国で高まっている一方、AIの誤情報生成(ハルシネーション)に対しては引き続き人による管理が不可欠であることが共通の課題として挙げられました。

 

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(EASTICA総会にて)

 

また会議の合間の昼食会、夕食会、休憩時間などの場を活用し、参加各国(韓国、中国、香港、マカオ、モンゴル、マレーシア、ベトナム)の代表者やEASTICA事務局長に対してアジ歴の資料を配布し、活用を依頼しました。事務局長イ・サンミン氏からは、韓国では日本植民地時代の朝鮮総督府の史料に高い関心があるとの意見がありました。

 

韓国国家記録院職員との意見交換

(於:韓国・ソウル/2025年11月13日(木))

ソウルに移動し、韓国国家記録院のシニアアーキビスト、Park氏と意見交換を行いました。国家記録院における所蔵資料のデジタル化、OCR化、AI活用の現状についてヒアリングを行い、資料のOCR化は約5年前から進められていること、国家戦略としてAI活用が推進されていることなど、先進的な取り組みを伺いました。

 

日本研究者との意見交換

(於:韓国・ソウル/2025年11月13日(木)~14日(金))

世宗研究所の陳日本研究センター長や仁荷大学の金教授、李准教授、高研究教授、Hyun研究教授、ソウル大学の朴教授と面談し、韓国における日本研究の現状について意見交換を行いました。

その際、韓国では日本研究者や日本への留学生が減少しているとの声もありました。複数の研究者からアジ歴の資料選定方針について質問があり、国立公文書館、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所から提供された歴史資料を選定・加工することなく公開していることを説明しました。また、今回お会いした研究者の多くがアジ歴を初めて知ったとのことから、アジ歴の国外周知強化の必要性が明らかとなりました。

 

韓国外交部・歴史問題担当者との意見交換

(於:韓国・ソウル/2025年11月14日(金))

韓国外交部の呉アジア太平洋局審議官と面談し、アジ歴が日本とアジア近隣諸国間の近現代史に関する公文書公開を目的として設立された経緯を説明しました。呉審議官からは今回、村山元首相がきっかけで設立されたことについての言及があり、これに対して当方より村山元首相が発表した平和友好交流計画に基づき、アジア諸国との歴史事実の共有による相互理解を促進するため2001年にアジ歴が設立した経緯等を説明しました。

 

まとめ

今回の釜山・ソウルでの一連の会議・意見交換を通じ、内外の幅広い利用者へ資料を提供するためにデジタル社会に対応したAI活用の検討を進める必要性や国内外におけるアジ歴の広報・発信強化の必要性を強く認識しました。

 

〈アジア歴史資料センター研究員 朝倉慎之輔〉