終戦80周年 インターネット特別展 萎みゆく帝国日本 ー降伏・復員・引揚ー

写真:SC 212246 Surrender of Japan, Tokyo Bay, 2 September 1945 (the U.S. National Archives)

帝国の解体と日本人の帰還

 1945年8月15日正午、ラジオから流される昭和天皇の肉声を通じて、日本の敗戦・降伏が国民に伝えられました。ここに日本政府は直ちに2つの難題に直面しました。1つは広大なアジア太平洋地域に展開していた陸海軍の復員・帰還という問題でした。もう1つは海外日本人の引揚という問題でした。当時、「外地」と呼ばれた朝鮮、台湾、満洲、南洋群島等が敗戦によって一挙に失われたからです。また、「日本臣民」として位置づけられていた朝鮮人や台湾人など異民族の処遇という難問も待ち構えていました。

 このインターネット特別展のテーマは「しぼみゆく帝国日本」としました。「外地」の喪失による領土縮小だけでなく、「日本臣民」の数も大きく減少し、その活動の範囲も狭まり、「多民族国家」の記憶も敗戦とともに遠ざかっていきます。こうした現象を「しぼみゆく帝国日本」という表題に託しています。

 アジア歴史資料センターは、近現代の歴史資料を広く内外の利用に供することを目的に、24年間にわたって活動を続けてきました。終戦80周年という節目に、この特別展が未曽有の敗戦の意味を考えるきっかけとなれば幸いです。

国立公文書館アジア歴史資料センター

昭和51年末までの
復員・引揚者数

  • 〜昭和21年
  • 昭和22年
  • 昭和23年
  • 昭和24年
  • 〜昭和51年
昭和21年までの総数 5,096,323
昭和22年中の総数 743,757
昭和23年中の総数 303,624
昭和24年中の総数 97,844
昭和51年までの総数 6,290,702
数値は厚生省援護局編『引揚げと援護三十年の歩み』
689~690頁より

目次

第2部 「外地」の喪失と復員・引揚

年表

降伏文書調印まで(1945年2月~9月)

出来事
2 4 米英ソ首脳によるヤルタ会談(11日まで)
  10 ヤルタ会談でスターリンが、南樺太・千島、満洲権益の獲得を条件に対日参戦を正式に約束
3 10 東京大空襲
  26 硫黄島守備隊、最後の総攻撃
4 1 米軍、沖縄本島へ上陸開始(沖縄戦)
  5 ソ連、日ソ中立条約の不延長を通告(規定上の期限終了は1946年4月)
  7 鈴木貫太郎内閣発足
  9 東郷茂徳外相就任
  12 ローズヴェルト米大統領死去、トルーマン副大統領が大統領へ昇任
  21 ソ連軍、ベルリン攻撃開始
  30 ヒトラー自殺
5 7 ドイツ降伏
  8 トルーマン、日本軍の無条件降伏を求める対日声明発表
  14 最高戦争指導会議構成員会議でソ連の仲介による戦争終結が合意
6 3 広田弘毅がマリク駐日ソ連大使に非公式に接触(6月29日まで)
  8 御前会議、「国体護持」と「皇土保衛」のため戦争「完遂」を掲げる「今後採るべき戦争指導の基本大綱」を正式採択
  18 トルーマン、オリンピック作戦(九州侵攻作戦)を承認
  23 沖縄で日本軍の組織的戦闘が終結(慰霊の日)
7 12 天皇、近衛文麿に特使として訪ソを下命
  16 アメリカ、原爆実験に成功
  17 米英ソ首脳によるポツダム会談開始(8月2日まで)
  18 ソ連が、近衛特使の使命が不明瞭であり、回答不能と回答
  26 米英中ポツダム宣言発表
  28 鈴木首相のポツダム宣言「黙殺」談話
8 6 米軍、広島へ原爆投下
  8 ソ連、対日宣戦布告、ポツダム宣言参加を表明
  9 ソ連軍、満洲・樺太・朝鮮北部などへ進攻開始
  9 米軍、長崎へ原爆投下
  10 御前会議において、「国体護持」を条件にポツダム宣言を受諾することを決定(「第一回聖断」)し、米国に通知
  11 アメリカが回答を送付、「国体護持」受け入れを明言せず(バーンズ回答)
  14 御前会議にてポツダム宣言受諾決定(「第二回聖断」)、米国へ通知
  15 前夜から発生していたポツダム宣言受諾に反対する陸軍一部将校による皇居武力占拠事件(宮城事件)が未明に収束
  15 ラジオで天皇による終戦の詔書の朗読が放送される(玉音放送)
  17 鈴木貫太郎内閣総辞職、東久邇宮稔彦内閣組閣
  19 河辺虎四郎陸軍参謀次長らの降伏使節団がマニラに派遣され、降伏文書案や連合国総司令部からの要求事項を受領(21日東京帰還)
  27 アメリカ先遣艦隊が相模湾に入港
  28 連合軍先発隊が厚木飛行場到着、米艦隊が東京湾入港
  30 マッカーサー連合国軍最高司令官、厚木飛行場到着
9 2 日本、ミズーリ号にて降伏文書に調印

復員・引揚に関する年表についてはこちら

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