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〔原 文〕

Sent. Feb 5-04 2-pm

横文電送493号188W 独逸経由分ハ電送第494号189W

花押(小村)
在露栗野公使                    小村外務大臣
第五十四号
 是ヨリ貴官ニ四通ノ電信(昨年七月二日付特機第一号ニ依ル)ヲ送ル其ノ内五十五十一号及五十二号ハ速達ヲ欲シ仮リニ三個ニ分割シタレトモ素ト一電信ト心得ラレタシ右電信ト五十三号トノ公文ハ之ヲ同時ニ「ラムスドルフ」伯ニ提出スベシ而シテ右提出ヲ了シタル上ハ貴官ハ早速館員一同ヲ率ヒ露都ヲ引上ケ伯林ニ於テ命ヲ俟タルベシ将又右訓令ハ我ニ対スル露国政府ノ回答既ニ発送サレタルト否トニ係ラス又其回答ノ性質如何ニ関セス直チニ遵行セラレルヘキ儀ト御承知アルベシ
〔口語訳〕

発送 1904年2月5日 午後2時

横文電送493号188W ドイツ経由分は電送第494号189W

花押(小村)
栗野慎一郎駐ロシア特命全権公使    小村寿太郎外務大臣
第五十四号
 これから貴官に4通の電報(昨年7月2日付特機第1号による)を送ります。そのうち50、51号及び52号は速達にしたいので、かりに3個に分割しましたけれども、もともとは1つの電信であるとお考え下さい。これらの電報と53号の公文はともにラムスドルフ伯に提出してください。そして、それを提出し終え次第すぐに、貴官は公使館員を率いてロシアの首都(サンクト・ペテルブルク)から引き揚げベルリンで命令を待ってください。またこの訓令はわが国に対するロシア政府の回答がすでに発送されたかされていないかに関係なく、また回答の性質がどのようなものであるかにも関係なく直ちに実行されるべきことであると御承知ください。
 右四通ノ電信ヲ受取ラレタルトキハ其部毎受取リタル旨ヲ本大臣ニ電報セラルヘシ又「ラムストルフ伯ニ公文提出セラレタルトキハ直チニ電報アリタシ  これら4通の電報を受取られたときには、それぞれ受取られたたびごとに本大臣(小村外務大臣)に電報にてお知らせください。また、ラムスドルフ伯に公文を提出されたときは直ちに電報でお知らせください。
 又右公文提出ト同時ニ在ヲデッサ領事ニ電信ヲ発シ館員ヲ率ヒテ直チニ引上ケ維也納ニ於テ命ヲ俟ツヘキ旨本大臣ノ訓令トシテ伝ヘラルベシ  またその公文を提出すると同時に在オデッサ領事に電報を送り、領事館員を率いて直ちに引き揚げ、ウィーンで命令を待つように私からの訓令としてお伝えください。
 貴館ニ於ケル 機密書類始末等事ハ挙テ貴官ノ御裁量ニ一任ス  貴公使館における 機密書類の始末についてはすべて貴官の御裁量にお任せします。