昭和16年(1941年)11月9日
東郷外務大臣、ドイツ、ブラジル、カナダ、イギリス、オーストラリア、ソ連駐在の各大公使に対して、日米交渉の現状について通知
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資料1:B02030722000 8 昭和16年11月8日から昭和16年11月13日(1画像〜3画像右)
「昭和16年11月9日東郷大臣発在伯剌爾大使在加奈陀公使在濠洲公使在独大使在英大使在蘇大使宛公電合第二二八八号 日米交渉ノ現段階ニ関スル件(館長符号)(原議)」
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昭和16年(1941年)11月9日、東郷外務大臣は、ドイツ、ブラジル、カナダ、イギリス、オーストラリア、ソ連駐在の各大公使に対して、日米交渉に対する日本政府の措置と現状について、通知しました。
資料1はその通知電報で、4項目からなっています。第1項では、東条内閣が組閣されて以来、連日、大本営政府連絡会議を開催し、国策の根本方針を審議し、11月5日の御前会議において、日米国交調整の根本方針(「日本側最終案」、いわゆる「甲案」、「乙案」)とともに決定した、と伝えています。第2項では、日米交渉について以下のように述べています。国交調整交渉を続行することとし、野村駐アメリカ大使は、御前会議で決定した「日本側最終案」を体し、折衝を開始した。日本側は依然として交渉妥結の意志を有しているが、日本の「権威ト存立ニ関スル」主張は堅持する決意を有している。しかし、従来の交渉経緯からして、アメリカ側との見解の隔たりは大きく、事態は日を追って緊迫の度を増しているので、前途は楽観を許さず、交渉が不調に終わった際は、日本を取り囲む情勢は急転することが予想される。第3項では、来栖特命大使のアメリカ派遣について以下のように述べています。日本政府は局面の平和的打開をはかるため、アメリカ側の反省を促し、交渉促進を目指しており、そのために、可能な限りの措置をとることとり、来栖大使をアメリカに急派し、野村に日本政府の決意を伝え、「交渉最後ノ段階」において野村に協力させ、難局打開にあたらせることとした。第4項は、各項目の総括で、日本政府はその立場を堅持しつつ、日米関係の破綻を避けるべく努力を傾注し、難局打開にあたっている、と述べています。 |
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