昭和16年(1941年)11月5日
東郷外務大臣、野村大使に対し、御前会議の決定に基づきまず「甲案」にて交渉を開始するよう訓令
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資料1:B02030721500 3 昭和16年11月4日から昭和16年11月5日(16画像〜18画像右)
「昭和16年11月4日東郷大臣発在米野村大使宛公電第七三五号 日米交渉(館長符号)(原議)」
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昭和16年(1941年)11月5日、東郷外務大臣は、野村大使に対し、同日の御前会議決定に基づき、まず「甲案」で交渉を開始するよう、訓令しました。
資料1はその訓令電報です。この電報は3つの項目からなっており、東郷大臣は、その冒頭で、11月4日の東郷発公電七二五号によって伝えた「日本側最終案」が本5日の御前会議で決定をみたので、野村大使は、先の訓令の趣旨を体して交渉を開始するよう、訓令しています。第2項では、まず「甲案」によって交渉を開始する理由として、従来の交渉経緯から鑑みて、「六月二十一日案」に基づいて交渉を進めることがアメリカ側の期待にそうことであると考えるからであり、交渉を急速にとりまとめるためである、としています。さらに、七二五号で伝えた事情をアメリカ側に納得させたうえで、「甲案」にて、最短期間で妥結するよう、極力ご尽力ありたい、としています。第3項では、アメリカ側が「甲案」に対して難色を示し、同案では妥結することが不可能な場合には、最後の局面打開策として、「乙案」を提示することとなるので、「甲案」に対するアメリカ側の反応を至急突き止め、電報してほしいとしています。また、「乙案」を提示する際には必ず訓令を求めて欲しいとも付け加えています。第4項では、先の電報で縷々述べたとおり、今回の案は日本政府の最終案であり、事態も切迫し遷延を許さない状況にあるので、そのつもりで努力して欲しいと、重ねて伝えています。第5項では、「タイム・リミット」を決め、「最後通牒的態度」をとっているような印象を与えることを避けたいので、「友好的折衝ヲ以テ」出来うる限り速やかに成立することを期待しているような態度で、交渉に当ることとしたい、と表明しています。
(11月4日の東郷発七二五号については、「昭和16年(1941年)11月4日 東郷外務大臣、野村大使に対し、日本側最終案(いわゆる「甲案」、「乙案」)を通報」の資料解説文を、「六月二十一日案」については、「昭和16年(1941年)6月22日 野村大使・ハル米国務長官会談、ハルは、オーラル・ステートメントを手交、また、5月31日案(日本時間6月1日手交)のアメリカ政府訂正案を提示」の資料解説文をそれぞれご参照下さい。)
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