日米交渉 資料解説
昭和16年(1941年)10月24日
第60回大本営政府連絡会議(議題:国策遂行要領再検討)
資料1:昭和十六年十月二十四日(金)第五十九回連絡会議 十月二十五日(土)第六十一回連絡会議 国策遂行要領再検討ニ関スル件」(『大本営政府連絡会議議事録 其の二』(杉山メモ)83画像〜87画像右)
画像資料
 昭和16年(1941年)10月24日に開催された大本営政府連絡会議において、9月6日の御前会議で決定された、国策遂行要領についての再検討が開始されました。
 資料1は、その会議録です。この資料によれば、この会議では23日の連絡会議で提示された11項目の具体的再検討項目のうち、第2項「対米英蘭戦争ニ於ケル初期及数年ニ亘ル作戦的見透シ如何」と、第3項「今秋南方ニ開戦セハ北方ニ対スル関連的現象如何」、第4項「船舶ノ消耗量」、第5項「主要物資ノ需給見込」についての検討が行われました。このうち、第2項に関する検討では、「南方作戦」の所要期間について陸軍は4〜5ヶ月、海軍は6〜8ヶ月と異なる見解を提示しています。第3項については、ソ連の動きについて明確な結論が出ていません。第4項については、船舶の新造量について、海軍艦政本部総務部長が、開戦1年目は40万トン、2年目は60万トン、3年目は80万トンとの試算を示したのに対し、嶋田海軍大臣は、海軍艦船の修理もあり、1年目、2年目については、この試算の半分、20万トン〜30万トンであろう、と述べています。第5項については、予算について賀屋興宣大蔵大臣が、予算は物資と労働力が揃えばどうにでもなる、などと述べたのに対し、嶋田が、海軍としては昭和17年度(1942年度)は、94億円、昭和18年度(1943年度)は95億円、以後は100億円必要であるが、良いか、と尋ねています。
このページを閉じる