日米交渉 資料解説
昭和16年(1941年)10月18日
若杉公使、ハル米国務長官・ウェルズ米国務次官と会談
資料1: B02030720700 10 昭和16年10月17日から昭和16年10月18日(10画像〜12画像)
「昭和16年10月18日野村大使発豊田外務大臣宛公電第九六六号(外機密)(写)」
画像資料
 昭和16年(1941年)10月18日(米時間17日 16:00〜17:30)、若杉公使とハル米国務長官・ウエルズ米国務次官のあいだで会談が行なわれました。
 資料1は野村が本国へ送った報告電報です。この会談では、日米間の三つの問題についての双方の相違点と調節点が主に話し合われました。この三点とはすなわち、(1)三国同盟、(2)通商無差別、(3)中国駐兵問題です。(1)について、若杉は三国同盟における義務履行については、「日本独自ノ裁量ニヨリ」決定することであり、同条約はどこの国をも「侵略スルノ意ナク」と強調しています。ハルはこれに対し、日本が武力政策か平和政策をとるかによって条約の性質が変わると疑惑を示しました。(2)については、ハルが最も重点を置いており、この原則は全太平洋地域に適用することを強調しました。(3)について、若杉は前日の会談と同様に中国における駐兵の必要性を説きました。それに対し、ハルは理解しているが、根本的に武力政策をとめない限り如何ともしがたいと述べました。さらに若杉はアメリカ側の原則は「主義上」異議をとなえないが、中国との4年にわたる戦争という特殊状況のもとでは実行困難なこともあると述べています。ハルはアメリカの国柄として、中国の苦情を無視することはできず、太平洋全地域への原則の適用は結局日本にとって有利なので、実施することを希望しています。
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