日米交渉 資料解説
昭和16年(1941年)9月3日
第50回大本営政府連絡会議(議題:帝国国策遂行要領決定)
資料1:九月三日第五十回連絡会議 「帝国国策遂行要領」ニ関スル件(『大本営政府連絡会議議事録 其の二』(杉山メモ)39画像左〜42画像)
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資料2:昭和16年9月3日(『機密戦争日誌 其三』135画像左〜136画像)
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資料3:帝国国策遂行要領 昭和十六年九月六日御前会議決定(『重要国策決定綴 巻一』31画像)
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 昭和16年(1941年)9月3日、午前11時から午後6時にかけて、第50回大本営政府連絡会議が開催されました。この会議では、長時間にわたる議論を経て「帝国国策遂行要領」が決定されました。「帝国国策遂行要領」とはすなわち、7月2日の第5回御前会議で決定した「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」の遂行についての具体的な取り組みを定めたものです。
 資料1の会議録によると、まず永野軍令部総長が「帝国国策遂行要領」提案の理由について述べています。ここでは、日本の物資不足が進行しつつある以上は、外交の見込みがなく戦争が避けられなければ早めに開戦の決意をすべきであって、今がまさにその機会ではないか、との見解が示されています。さらに、戦争は長期化するであろうとの海軍の見通しが述べられ、これを有利に進めるためには物資の確保が不可欠であり、また自ら開戦時期を定め先制すべきであると結論付けられています。続いて、杉山参謀総長が、直ちに攻撃準備を開始してもその完了は10月下旬になるとし、10月上旬には外交(アメリカ、イギリスとの交渉)の目処をつけなければならないと説明しています。また、後に北方(ソ連方面)への攻撃を行なうことを見越して、南方(東南アジア)への攻撃はできるだけ早く開始する必要があると述べています。
 資料2の『機密戦争日誌』では、海軍側から文言の修正についていくつか提案があったことも説明されていますが、ここではそれに対する厳しい批判が述べられています。
 資料3は、「帝国国策遂行要領」の全文(この連絡会議で決定された案が、閣議での承認を経て、御前会議で国策として正式に決定された段階のものの写し)です。
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