日米交渉 資料解説
昭和16年(1941年)2月3日
第8回大本営政府連絡懇談会(議題:日ソ国交調整、対独・伊・ソ交渉案要綱決定)
資料1:二月三日第八回連絡懇談会 松岡提案ノ対独伊蘇交渉案要綱ノ件(『大本営政府連絡会議 議事録 其の一』(杉山メモ)38画像〜43画像右)
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資料2:対独、伊、蘇交渉案要綱(『大本営政府連絡会議 議事録 其の一』(杉山メモ)43画像左〜48画像右)
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 昭和16年(1941年)2月3日、第8回の大本営政府連絡懇談会が開催されました。
 資料1は、この連絡懇談会の会議録です。この会議では松岡外務大臣から提案された「対独、伊、蘇交渉案要綱」の若干の条文修正と理解の統一がおこなわれています。
 会議の中では、まず松岡外務大臣の渡欧について、異存はないが時期については対仏領インドシナ、タイ基礎交渉が成立した後がよいとの要望が陸海軍から出されています。これに対し松岡外相も仏領インドシナ、タイについて協定調印の見透しがつくのを2月20日頃とみて、3月初め出発、4月中旬に帰国する予定であると述べています。また松岡外相は、ドイツやイタリアが自分を招く意図について、「真意ハ相当疑問ナリ」と述べ、警戒する姿勢を示しています。
 つづいて松岡外相から提案された要綱について、各項目ごとの検討とそれに基づく条文修正が行なわれています。この検討の中では松岡外相の原案の八項にあった「急速ニ海軍準備ヲ完成シ、陸軍ハ支那ニオケル戦線ヲ思イ切ッテ縮小ス」という部分に最も多くの議論の時間があてられ、陸軍海軍双方から交々反対意見が表明されたのち最終的にこの項目が削除され、第八項は「支那全面和平ノ促進ニ就イテハ尚独ト懇談ヲ遂ク」と修正されています。
 資料2は、この連絡懇談会で条文修正された「対独、伊、蘇交渉案要綱」です。この資料は、1月6日付で作成された松岡外相の原案に修正を加えたもので、日付や上に述べた第八項の部分に修正の書き込みがみられます。
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